東京二期会がNISSAY OPERA 2014提携公演として11月22日から26日まで日生劇場で上演する、カールマンのオペレッタ《チャールダーシュの女王》。そのHP(ハウプト・プローベ、オーケストラ付き舞台リハーサル。GP(最終総稽古)の一つ前に行われる通し稽古)が19日行われた。23日、26日出演のキャストの部を取材した。
ハンガリー生まれでオーストリアで活躍したカールマン。その音楽には煌びやかさと土の匂いが見事に同居しており、特に同演目はその深い魅力が余すところなく発揮された傑作オペレッタだ。チャールダーシュの歌の野性的な情熱、宴の華やかさにあふれた華麗なナンバー、そして身分差に翻弄される感情の交錯がため息を誘う重唱など、オペレッタの喜びを堪能できる。
今回は日本語訳詞上演であることも特徴。オペレッタの場合は今までも日本語訳詞での上演は多いが、字幕を通さずに言葉が理解でき、舞台の楽しさをダイレクトに楽しめる意義は小さくない。
ヒロインのシルヴァ(醍醐園佳)はのっけから有名なチャールダーシュのアリアで観る者を引き込み、最後まですばらしい存在感を発揮。もう一人のヒロインになるシュタージ(青木エマ)はもちろん、シルヴァの恋の相手エドウィン(古橋郷平)のほか、影の主役とも言えるボニ(高田正人)とフェリ・バーチ(宮本益光)の男声陣以下、主要キャスト以外にも魅力的な陣容が揃った。全員が歌って踊って飛び跳ねて(!)で大忙し。二期会合唱団も見事な歌声ばかりか演技に踊りに大活躍。耳にも目にも楽しませてくれる。
三ツ橋敬子の指揮は気持ちのこもった表現力、丁寧な音楽づくりがすばらしく、東京交響楽団もそれに応え、美しいソロから楽しそうな裏打ちまで素敵な演奏を繰り広げた。
演出は田尾下哲。同演目は版によってキャラクター設定や曲順などまで違ってしまうということで、今回の上演用の日本語台本も田尾下がまとめなおした。その結果、舞台は余計なことを考えずに楽しめるものになり、細部まで工夫されている上に、オペレッタならではの楽しい仕掛けもたっぷり。第3幕では思わぬ音楽も登場(元歌手と発覚したアンヒルテ公爵夫人がキーマン?)。カーテンコールもただでは終わらぬ(?!)、最後の最後まで必見の舞台だ。
(取材・文:林昌英 Photo:M.Terashi & J.Otsuka/TokyoMDE 写真は23、26日出演の醍醐園佳組から)
※許可のない写真の無断転載を禁じます。また写真利用の際はクレジット(Photo:M.Terashi & J.Otsuka/TokyoMDE)を付記ください。
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◆NISSAYOPERA2014提携 東京二期会オペラ劇場
エメリッヒ・カールマン《チャールダーシュの女王》オペレッタ全3幕
日本語訳詞上演(上演時間:約3時間10分+カーテンコール、2回休憩含む)
日本語訳詞:池田直樹
日本語台本:田尾下哲
2014年11月22日(土)15:00 23日(日・祝)14:00 24日(月・休)14:00 26日(水)14:00 日生劇場
■指揮:三ツ橋敬子
■演出:田尾下哲
■キャスト
11月22日(土)/24日(月・休)
腰越満美/小貫岩夫/湯浅桃子/村上公太/小森輝彦/志村文彦/加納悦子
11月23日(日・祝)/26日(水)
醍醐園佳/古橋郷平/青木エマ/高田正人/宮本益光/峰茂樹/与田朝子
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京交響楽団
■チケット: S18,000 A14,000 B10,000 C8,000 学生2,000
■問:二期会チケットセンター 03-3796-1831
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