桐朋学園大学卒業後にベルリン芸術大学で研鑽を積み、現在はバーデン州立歌劇場管の第2ヴァイオリン首席奏者として活躍する小林正枝。オーケストラ奏者としての数多くの経験は確かな技術や多彩なニュアンスに活きており、2枚目のアルバムとなる本盤での軽やかながら輪郭のはっきりとした音楽づくりへとつながっている。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ「春」とシューマンのヴァイオリン・ソナタ第1番を核に、ドイツの作曲家による小品がまとめられたプログラムは小林の音色の豊かさ、優美な語り口と相性がいい。ピアノの佐野隆哉のスケールの大きな音楽づくりも魅力的だ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年6月号より)
【information】
CD『“春の歌”〜Spring Songs〜/小林正枝&佐野隆哉』
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」/シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番、3つのロマンスより第2番/メンデルスゾーン(パラシュコ編):「無言歌集」より〈春の歌〉/ブラームス:「5つの歌曲」より〈瞑想曲〉(ハイフェッツ編)、F.A.E.ソナタ「スケルツォ」 他
小林正枝(ヴァイオリン)
佐野隆哉(ピアノ)
ナミ・レコード
WWCC-7981 ¥2750(税込)