鷲宮美幸は桐朋学園大学在学中、フランス音楽界の第一人者であるアンリエット・ピュイグ=ロジェに見出されてパリでも学んだピアニスト。特にフランス音楽に造詣が深いが、レパートリーは幅広く、室内楽でも活躍を見せる彼女の三枚目となるアルバムは、プーランクにドビュッシー、セヴラック、そしてモンポウにグラナドス、レクオーナというプログラム。フランスとスペインという対照的な組み合わせを、多彩な表現力と鮮やかなコントラストが持ち味の鷲宮が見事に描き分けながら弾ききっている。とりわけプーランクの「ナゼルの夜」では各変奏のキャラクター描写のきめ細やかさに魅了される。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年6月号より)
【information】
CD『記憶の風景/鷲宮美幸』
プーランク:愛の小径、ナゼルの夜/セヴラック:「休暇の日々から 第1集」より〈ロマンティックなワルツ〉〈古いオルゴールが聞こえるとき〉/モンポウ:歌と踊り 第6番/グラナドス:「スペイン舞曲集」より〈アンダルーサ〉/レクオーナ:スペイン組曲「アンダルシア」より〈アンダルーサ〉〈マラゲーニャ〉 他
鷲宮美幸(ピアノ)
コジマ録音
ALCD-7291 ¥3300(税込)