横浜みなとみらいホール開館25周年記念 Dive into the Future

ホールオルガニストがプロデュースする異色のコラボレーション

 2年近い改修工事を経て昨秋リニューアル・オープンした横浜みなとみらいホール。「ルーシー」の愛称で親しまれているパイプオルガンも大規模なオーバーホールが施され、そのリフレッシュされた響きにたっぷり浸れるオルガン企画が続々と行われている。なかでも目玉となるのが、6月にホール開館25周年記念公演として開催される、ホールオルガニスト・近藤岳による「Dive into the Future」だ。ジャズ・ピアニストのスガダイロー、エレクトロニクス音楽の第一人者・有馬純寿、サクソフォン奏者・大石将紀とのコラボによる「エッジの効いたコンサート」(近藤)。出演者の名前を並べただけでも独創的。

 休憩なしの90分ノンストップ。J.S.バッハからアルヴォ・ペルト、ヤコブTV、Pause Cattiなど同時代の音楽までが交錯し、ラスト30分は筋書きのない完全な即興演奏。公演タイトルどおり、未来に飛び込む予測不能のコンサートだ。3人の奏者たちが感覚を研ぎ澄ませて反応し合いながら発した音を、有馬のライブ・エレクトロニクスで変調する。客席内に配置された多数のスピーカーから出力されたサウンドはホールのアコースティックと合わさって、聴衆は、その空間に身を置くことでしか体験できない新しい響きに身体ごと包まれる。紀元前からの歴史を持つ最も古い鍵盤楽器であるオルガンで未来を感じるという、刺激的な時間になるはず。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2023年6月号より)

2023.6/9(金)19:00 横浜みなとみらいホール
問:横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000
https://yokohama-minatomiraihall.jp