平尾はるな ピアノコスモス2023 ベーゼンドルファーコンサート

円熟のピアニズムと語りが紡ぎ出す温かな物語

平尾はるな(c)武藤章

 幼少期から安川加壽子に師事し、東京藝術大学附属高等学校、同大学を経てパリ国立高等音楽院で学んだピアニストの平尾はるな。多彩な演奏活動を展開する彼女は幅広いレパートリーで聴衆を魅了してきた。昨年リリースしたCD『PIANO COSMOS』が『レコード芸術』特選盤に選ばれるなど、さらに目覚ましい活動を展開する。

 今回のリサイタルは、父である故・平尾貴四男唯一のピアノ・ソナタに加え、モーツァルトの作品が並ぶ優美なプログラムとなっている。美しく気品あふれる平尾の演奏がベーゼンドルファーの豊潤な響きと結びつき、極上の音色を楽しめることだろう。なお、演奏曲には東京大学やNHKフランス語講座講師を経て翻訳や朗読の分野で活躍するエストレリータ・ワッセルマンを迎えてのプーランク「子象ババールの物語」も含まれている。平尾の音色が言葉と織りなす色彩豊かな世界にも注目したい。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年5月号より)

2023.5/7(日)14:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677 
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