指揮者小澤征爾(74歳)が昨年末に定期健診を受けた際に食道がんが発見され、今年の6月まで音楽監督の任にあるウィーン国立歌劇場や国内外の30公演をすべてキャンセルし、治療に専念することを発表した。
1月7日(木)に都内ホテルで急遽行われた記者会見の席で、小澤は「急なことでウィーン・フィルやベルリン・フィル、マーラー・チェンバー・オーケストラ、新日本フィル、水戸室内管弦楽団、またウィーン国立歌劇場の《フィガロの結婚》と《エフゲニー・オネーギン》を振れなくなって本当に残念。この1月に日本からオペラを観に行っているお客さんたちにも申し訳ないと思っている。兄もがんに罹ったがいまはぴんぴんしているので、がんが怖い病気と思ったことはない」と述べた。主治医である聖路加国際病院の岡田正人医師によれば「胃カメラで検査し、早期のがんであることが確認された。粘膜の浅い部分にできたがんで、現在も検査を続けているが詳しい結果が出てから治療に入る」とのことで、治療後の経過と体力回復を考慮しての“休養”となった。
6月以降の小澤のスケジュールについては「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」が始まる前には復帰したいと述べた。また今後、サイトウ・キネン・オーケストラなど、小澤が関係している演奏家をカーネギーホールなど海外で紹介する計画があることも報告された。なお小澤征爾の息子の征悦と娘の征良から「新年早々、お騒がせして申し訳ありません。家族みんなで力を合わせて乗り越えたいと思っています。父の応援、よろしくおねがいします」というコメントが寄せられた。