尾高忠明のエルガーは定評があり、名盤も多いが、前回の交響曲第1番は、大阪フィルの特性を生かした新境地をひらくような出来栄えであった。本盤はそれに勝るとも劣らない。第2番は第1番ほど親しみやすくなく、対位法の線が複雑に絡み合っているが、尾高はそれを精緻に処理し、なおかつたっぷりと歌うところが巧い。スケルツォでも錯綜したテクスチュアを見事に整理しながら、所々にデリケートなニュアンスが付けられて、とてもきれい。中間の激越な頂点も凄まじい。終曲のゆったりとした歌も美しい。尾高=大阪フィルの実力が存分に発揮された、上品で魅力的なアルバムである。
文:横原千史
(ぶらあぼ2023年3月号より)
【information】
SACD『エルガー:交響曲第2番/尾高忠明&大阪フィル』
エルガー:交響曲第2番
尾高忠明(指揮)
大阪フィルハーモニー交響楽団
収録:2022年4月、フェスティバルホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00801 ¥3520(税込)