愛知室内オケのメンバーがおくる色彩豊かなアンサンブル
木管五重奏はエアリード(フルート)、シングルリード(クラリネット)、ダブルリード(オーボエ、ファゴット)、マウスピース(ホルン)とそれぞれ発音体が違うので、同じ原理を持つ弦やブラスのアンサンブルとは違った難しさがあるが、それだけに巧者が集まれば色彩的でシンフォニックな音楽が生まれる。クインテット・ポワンティエのメンバーは全員が愛知県立芸大の卒業生で、現在は愛知室内オーケストラで演奏しており、文字通り“同じ釜の飯を食う”仲間だ。2021年にはデビューアルバムがリリースされているが、光溢れるフェルメール作品のハイライト技法の名前のままに、主役となる楽器の変化を通じ多彩な音色が楽しめる。
大阪、東京、名古屋と3都市を巡る2月のツアーでは、20世紀の名作でプログラムを組んだ。中世を描いた映画につけた音楽を7曲の組曲に編みなおしたミヨーの「ルネ王の暖炉」に始まり、クラリネット奏者としても活躍したハンガリー出身のセルヴァンスキーの木管五重奏曲第1番へ。ホルストが若い頃に書いた木管五重奏曲は、素直で巧んだところのない音楽。バーバー「サマー・ミュージック」はリズミカルな部分を挟みながらも、どこか懐かしい郷愁を誘う、このジャンルの名作。洒脱とユーモアにあふれ、終楽章ではシンプルなコラールが変奏されるニールセンの大作で締めくくる。
作曲家の出身国もすべて異なるヘビーで意欲的なプログラム。彼らの高度なテクニックとアンサンブル力が遺憾なく発揮されるだろう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2023年2月号より)
2023.2/3(金)19:00 ヤマハホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
http://www.pacific-concert.co.jp
他公演
2/1(水) 大阪/ザ・フェニックスホール(大阪アーティスト協会06-6135-0503)
2/7(火) 名古屋/電気文化会館 ザ・コンサートホール(クラシック名古屋052-678-5310)