横浜ゆかりのアーティストによる珠玉の室内楽
文:飯田有抄
「横浜音祭り」の注目シリーズの一つである「横浜18区コンサート」。2016年の“ヨコオト”から誕生したこのコンサート・シリーズは、横浜18区それぞれのホールや文化施設で開かれている。各会場を訪れれば、横浜の多様な姿にも触れられるイベントだ。出演アーティストは、横浜にゆかりあるトップレベルの奏者たちである。
10月は3組の出演陣によるユニークなコンサートが続く。鶴見区(10/3)・瀬谷区(10/4)・戸塚区(10/5)は、神奈川フィルの首席ソロ・コンサートマスター、また弦楽アンサンブル「石田組」組長として活躍する石田泰尚と、ソロのみならず室内楽奏者としても信頼厚いピアニスト津田裕也が登場。ベートーヴェンとブラームスのヴァイオリン・ソナタを1曲ずつ組み合わせ、3日間で6作取り上げる。若きブラームスと恩師シューマンらが親友ヨアヒムのために共作した「F.A.E.ソナタ」から、ブラームスが担当した第3楽章が3日間とも演奏されるのも興味深い。
磯子区(10/17)・西区(10/18)は、横浜みなとみらいホールのプロデューサー(2021-23)としても活躍するカウンターテナーの藤木大地が、ピアノ五重奏と共演するユニークなコンサートを展開。共演陣を「みなとみらいクインテット」と冠し、成田達輝・小林美樹(以上ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)、中木健二(チェロ)、松本和将(ピアノ)というドリーム・メンバーが集結。曲目はシューベルトやマーラーの歌曲から、J.シュトラウスIIのオペラアリアや、小林秀雄の〈落葉松〉など実に多彩! ここでしか聴けないプログラムを堪能したい。
泉区(10/19)では、指揮者・山田和樹が創設した横浜の“ご当地”団体である横浜シンフォニエッタのメンバーが出演。モーツァルトのクラリネット五重奏曲とシューマンのピアノ五重奏曲というプログラム。一度は聞いておきたい古典・ロマン派の傑作を、彼らの雄弁なアンサンブルでお楽しみいただきたい。
■横浜18区コンサート
10月公演
各回15:00開演
●料金
各¥3,000
2022.10/3(月)鶴見区/鶴見区民文化センター サルビアホール
10/4(火)瀬谷区/瀬谷区民文化センター【完売】
10/5(水)戸塚区/戸塚公会堂
●出演
石田泰尚(ヴァイオリン)× 津田裕也(ピアノ)
●曲目
10/3(月)
ブラームス:F.A.E.ソナタ 第3楽章、ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調「雨の歌」 op.78
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第6番 イ長調 op.30-1
10/4(火)
ブラームス:F.A.E.ソナタ 第3楽章、ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 op.100
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第7番 ハ短調 op.30-2
10/5(水)
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 op.12-2
ブラームス:F.A.E.ソナタ 第3楽章、ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 op.108
10/17(月)磯子区/磯子区民文化センター 杉田劇場
10/18(火)西区/神奈川県立音楽堂
●出演
藤木大地(カウンターテナー)&みなとみらいクインテット
[みなとみらいクインテット]
成田達輝・小林美樹(ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)、
中木健二(チェロ)、松本和将(ピアノ)
●曲目
シューマン:ピアノ五重奏曲より 第1楽章
J.シュトラウスII:お客を招くのが好き(喜歌劇「こうもり」より)*
ベートーヴェン:アデライーデ*
シューベルト:魔王*
フォーレ:リディア*
マーラー:私はこの世に忘れられた*
ブラームス:鎮められたあこがれ
【休憩】
ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲より 第1楽章
モリコーネ:ネッラ・ファンタジア*
アーレン:オーバー・ザ・レインボー*
ヴュータン:アメリカの思い出「ヤンキー・ドゥードゥル」*
小林秀雄:落葉松*
木下牧子:夢みたものは
村松崇継:いのちの歌*
*は加藤昌則編曲によるカウンターテナー+ピアノ五重奏曲版
※曲目は変更となる可能性がございます
10/19(水)泉区/泉区民文化センター テアトルフォンテ
●出演
横浜シンフォニエッタ メンバー(クラリネット&ピアノ五重奏)
加藤えりな・佐々木絵理子(ヴァイオリン)、伴野剛(ヴィオラ)、
懸田貴嗣(チェロ)、齋藤雄介(クラリネット)、碓井俊樹(ピアノ)
●曲目
モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44
横浜音祭り2022
2022.9/17(土)〜11/6(日) 横浜市内全域〈横浜の“街”そのものが舞台〉
問:横浜音祭りチケットセンター045-453-5080
※公演の最新情報は、公式ウェブサイトをご確認ください。