俊英は、いま聴いておかねば!
近年若い指揮者が来日すると、聴いておかねば…と思う。何しろ後でブレイクする俊英が多い。最近ではバッティストーニ、少し前はソヒエフ、古くはパーヴォ・ヤルヴィも、名が知れる前に単身来日し、聴き逃した者を後悔させている。
9月読響に客演するコルネリウス・マイスターは、2006年、26歳(!)の時に新国立劇場の《フィデリオ》、12年のウィーン放送響の日本ツアーを振っているから、若干事情が違う。しかしながら在京オケのコンサートに単身登場する今回、必聴の注目株であることに変わりはない。1980年ハノーファーに生まれ、21歳でハンブルク歌劇場でオペラ・デビュー。2010年からあのド・ビリーの後任としてウィーン放送響の首席指揮者を務め、バイエルン放送響、パリ管、ドレスデン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場ほか一流どころにも多数客演…との経歴が今後のブレイクを予感させるからだ。
今回のメインは、R.シュトラウスの「アルプス交響曲」。マイスターのお国もの&オペラで培った語り口がモノを言う音楽であり、ゴージャスな響きの読響に最適の作品でもある。彼が読響をいかにリードし、曲をどう構築するか? ぜひ確かめたいところだ。また大人気ピアニスト、アリス=紗良・オットが、ベートーヴェンの協奏曲第1番を弾くのも大きな魅力。若くして脚光を浴びた彼女が、25歳を過ぎていかなる進境を見せるか? ベートーヴェンならそれを知るに相応しい。指揮者、ソリスト、演目全てドイツ系で、読響も伝統的にドイツものが得意…と条件も揃った当公演に足を運ばない手はない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)
第10回 読響メトロポリタン・シリーズ
9/3(水)19:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp