第17回ショパン・コンクール覇者の“今”を聴く
昨秋の開催でも大いに話題となったショパン国際ピアノコンクールだが、その優勝者は長きにわたってその称号を語るにふさわしい音楽家としての魅力に、ますます磨きをかけていかなければならない。2015年、第17回のコンクールで韓国人として初の優勝を飾ったチョ・ソンジンは、まさに権威ある舞台の覇者にふさわしい深化を続け、モーツァルト、シューベルト、ベルク、ドビュッシーなど実に多様なレパートリーで世界中の聴衆を魅了し続けている。
コロナ禍を経て待望の再来日を果たすこの夏、よこすか芸術劇場での公演では、ショパンのスケルツォ全4曲を演奏する予定だ。昨年8月にリリースされたアルバムでも、ショパンのピアノ協奏曲第2番とともに4曲のスケルツォを収め、それぞれの作品がもつユニークで鮮烈な表情や繊細に織り込まれたテクスチュアとを浮き彫りにする演奏で話題を呼んだ。明晰でクリアなタッチと、鋭敏な情感との見事なバランスで聴かせるチョ・ソンジンのスケルツォを、生演奏で堪能することができる絶好の機会となる。
またコンサートの前半は、ヘンデルのクラヴサン組曲から、有名な「調子の良い鍛冶屋」を含む第5番(第1集)と、第7番(第2集)で幕を開ける。そこから、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」へと繋ぐプログラミングも粋である。チョ・ソンジンの多彩な音楽的アプローチを存分に堪能できるコンサートとなりそうだ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2022年7月号より)
2022.8/27 (土)15:00 よこすか芸術劇場
問:横須賀芸術劇場046-823-9999
https://www.yokosuka-arts.or.jp
他公演
8/23(火) 愛知県芸術劇場 コンサートホール(CBCテレビ事業部052-241-8118)
8/25(木) 東京オペラシティ コンサートホール(ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212)