【CD】アントン・エーベルル:鍵盤楽器のための作品集/名越小百合

 名越小百合はブリュッセルを拠点とする歴史的鍵盤楽器奏者。本作はモーツァルトの友人であり、当時ベートーヴェンを凌ぐ勢いで人気があったというウィーンの音楽家アントン・エーベルル(1765〜1807)の作品集である。名越が選曲した3曲のソナタには、古典派からロマン派への移行期に輝きを放った鍵盤音楽の華やかな技巧性に溢れる。使用フォルテピアノは1805年頃のブロッドマン製のオリジナル楽器だ。ローマ・フォルテピアノ国際コンクールの賞としてイタリアの修道院で収録。たっぷりとした残響とともに時代の香りを生き生きと伝えるアルバム。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2022年7月号より)

【information】
CD『アントン・エーベルル:鍵盤楽器のための作品集/名越小百合』

エーベルル:ソナチネ ハ長調、グランド・ソナタ ト短調、同ハ長調、モーツァルトのオペラ《魔笛》より「恋を知る男たちは」の主題による12の変奏曲、ソナタ ハ短調 第2楽章

名越小百合(フォルテピアノ)

Brilliant Classics
BRL96509 ¥1980(税込)