コンマス自らのオファーで小林愛実との共演が実現
東京・晴海の第一生命ホールを拠点に、指揮者無しでの演奏活動を続けている「トリトン晴れた海のオーケストラ(晴れオケ)」は、2018年からベートーヴェン・チクルスを行い、昨年開催された第10回演奏会で「第九」を演奏し、チクルスを終えた。コンサートマスター矢部達哉を中心に、一人ひとりのメンバーが全力を出し切った演奏は、清々しいものだった。
その「晴れオケ」が2022年に行う演奏会(10/1)では、21年のショパン国際ピアノコンクールで第4位に入賞した注目の若手ピアニスト・小林愛実をソリストに迎えて、モーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノム」を演奏する。実は、矢部は配信されていたコンクールのライブ映像を観て、特に小林の「24の前奏曲」の演奏に驚いたという。それで、今回の演奏会での共演をオファーした。「ジュノム」は1777年作曲。モーツァルトのピアノ協奏曲のなかでは比較的初期に属する作品だが、第1楽章冒頭からオーケストラとピアノが対話するなど、かなり斬新な一面を持った作品として知られる。小林と「晴れオケ」の共演もフレッシュなものとなるだろう。
その他、ベートーヴェンの「大フーガ」(弦楽オーケストラ版)を前半に、モーツァルトの交響曲第36番「リンツ」を後半に置いたプログラムは、ベートーヴェン・チクルスを終えた「晴れオケ」の新しい出発点として、期待の高まるもの。ぜひライブで堪能していただきたい。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2022年5月号より)
2022.10/1(土)14:00 第一生命ホール
5/24(火)発売
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net