新鋭の名技が充実の選曲で迸る
昨秋、東京交響楽団のコンサートマスターに就任したヴァイオリニスト、小林壱成が紀尾井ホールでリサイタルを開く。「紀尾井 明日への扉」第30回として企画され、当初は昨年4月に予定されていたが、2月16日に延期されて開催されることになった。
小林はベルリン芸術大学大学院修士課程を修了し、バイエルン放送交響楽団第1コンサートマスターのアントン・バラホフスキーらのもとで学んだ新鋭。「東京・春・音楽祭」や「トランス=シベリア芸術祭」などに参加するほか、マキシム・ヴェンゲーロフやワディム・レーピンといった名手たちとも共演を重ねている。
プログラムは多彩で意欲的だ。シマノフスキの「ノクターンとタランテラ」、ショーソンの「詩曲」、サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番、ピアソラの「ル・グラン・タンゴ」、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番。聴きごたえのある作品がずらりと並んだ。ピアノは小澤佳永。
コロナ禍で不完全燃焼に終わった昨年のサン=サーンス没後100年とピアソラ生誕100年を遅ればせながら祝いつつ、若き名手の雄姿を見届けたい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年2月号より)
2022.2/16(水)19:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
https://kioihall.jp