【CD】シベリウス:交響曲全集&ヴァイオリン協奏曲/藤岡幸夫&関西フィル

 藤岡幸夫が2012年から毎年関西フィル定期演奏会で1曲ずつ取り上げてきた交響曲が全集となって完結した。どの曲も高水準の秀演揃い。例えば有名な第2番。冒頭からゆったりとしたテンポで構えが大きく、スケールも雄大だ。第2楽章は生々しい嘆きの歌で、愛娘を失った慟哭がひしひしと伝わってくる。そして終楽章への壮大な高揚と輝かしいファンファーレ、バスとティンパニの切実な響きと存在感など、実に感動的だ。ほかでも、静謐で透明な抒情、荒々しい躍動感、陰鬱な思索に溢れている。これは日本のシベリウス演奏の快挙であり、藤岡の師匠渡邉曉雄の名演に勝るとも劣らぬ金字塔といっていいだろう。
文:横原千史
(ぶらあぼ2021年10月号より)

【information】
CD『シベリウス:交響曲全集&ヴァイオリン協奏曲/藤岡幸夫&関西フィル』

シベリウス:交響曲第1番〜第7番、ヴァイオリン協奏曲

藤岡幸夫(指揮)
関西フィルハーモニー管弦楽団
岩谷祐之(ヴァイオリン)

収録:2012年2月、ザ・シンフォニーホール(ライブ) 他
コジマ録音
ALCD-8036-8039(4枚組) ¥5500(税込)