シェーンブルン宮殿で行われる毎年恒例の野外サマーコンサートが、今年もコロナ禍で聴衆を限定し、医療関係者らを招待して開催。「遠くへの憧れ」をテーマにパイロットの免許を持つハーディングが指揮し、ヴェルディの描くシチリア島からバーンスタインのニューヨーク、果てはホルストの宇宙まで誘う“音楽の旅”を演出する素敵なプログラム。注目は今、最も熱いピアニストのひとりであるレヴィットが弾くラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」で、ウィーン・フィル(VPO)が同曲を演奏会でとりあげるのは初! 「愛の挨拶」や「牧神の午後」等の名曲もVPOの録音は意外と珍しいので必聴。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2021年10月号より)
【information】
CD『ウィーン・フィル・サマーナイト・コンサート2021/ハーディング&ウィーン・フィル』
ヴェルディ:歌劇《シチリア島の夕べの祈り》序曲/ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲/バーンスタイン:「ウエストサイド・ストーリー」からのシンフォニック・ダンスより/エルガー:愛の挨拶/ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲/ホルスト:組曲「惑星」より木星 他
ダニエル・ハーディング(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
イゴール・レヴィット(ピアノ)
収録:2021年6月、ウィーン(ライブ)
ソニーミュージック
SICC 2234 ¥2860(税込)