ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団

ホルン奏者達が大活躍のコンサート


 東響とエッジの効いた熱演を繰り広げている知性派指揮者ジョナサン・ノット、そのコンサートは毎回選曲にもこだわっている。ノットは現代音楽を専門とするアンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督も務めたほどコンテンポラリーにも強く、プログラミングの妙との合わせ技で私たちの現代音楽食わず嫌いを解消してくれる。
 今回はホルンをテーマに、“ノット・マジック”が炸裂しそうだ。1曲目はリゲティ「ハンブルク協奏曲」。オーケストラのホルン・セクションはナチュラルホルンで純正調の和音を作るが、これが平均律に調律されたソロのホルン(ソロ:クリストフ・エス)とオーケストラの間に調子外れなうねりを作り出す。奇抜なアイディアで管弦楽を面白く聴かせることにかけて、リゲティの右に出るものはいない。ぜひそのユニークでユーモラスなハーモニーを楽しんでほしい。
 ソロを務めるクリストフ・エスはバンベルク響のソロ奏者を務める傍ら、活きのいい若手たちとホルン・クァルテットの「ジャーマン・ホルンサウンド」を結成し、委嘱作から編曲ものまで驚異的なアンサンブル力を見せている。次のシューマン「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」では彼らが舞台前方に並び立つ。壮観な舞台姿だけでなく、がっちりとスクラムを組んだ4人のパワフルな演奏は聴き手を圧倒するはずだ。
 後半はベートーヴェン「英雄交響曲」。第3楽章の中間部ではホルンが角笛を思わせる伸びやかな三重奏を聴かせる。東響のホルンも巧者揃い。ドイツのホルニステンに負けじと、いつにも増してヴォルテージが上がるのではないだろうか。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2017年12月号より)

第656回 定期演奏会
2017.12/2(土)18:00 サントリーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
http://tokyosymphony.jp/

第104回 新潟定期演奏会
2017.12/3(日)17:00 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
問:りゅーとぴあチケット専用ダイヤル025-224-5521 
http://www.ryutopia.or.jp/