宮本笑里(ヴァイオリン)& 川本嘉子(ヴィオラ)

仲良し二人が念願の初共演!

 音楽家が自宅のサロンにお客様を迎えるような、互いの顔が見えるコンサート。Hakuju Hallの「サロン・コンサート」に、ヴァイオリンの宮本笑里とヴィオラの川本嘉子の仲良し二人が登場する。少し年齢の離れた二人。真正面から共演するのは今回が初めて。「より仲が深まっています」(川本)。

 出会いは十数年前の小澤征爾音楽塾のオーディション。宮本が受験者、川本は審査員の一人だった。

川本「音を聴いて一瞬で、音楽に本当に真面目に取り組んでいるのがわかって、一気にファンになりました。真面目って才能だと思うんです。尊敬できる演奏でした。それで小澤塾のツアーで食事に行ったりして」
宮本「まだデビュー前でしたし、初参加の小澤塾で、どうしたらいいのかわからない中、常に気にかけてくださって。川本さんのヴィオラは、聴いたことがないような、なんとも言えない音色で、歌い方も大好きです。ずっと憧れの存在でしたので、ご飯来る? と誘ってくださったのがとてもうれしかったんです」

 サロンらしく、客席の雰囲気を味わいながら弾きたいと言う。宮本のソロはバルトークの「ルーマニア民俗舞曲」とラヴェルの「ツィガーヌ」。

宮本「『ルーマニア民俗舞曲』は子どもの頃から五嶋みどりさんのCDを何回も聴いては踊っていた大好きな曲。3年前に初のクラシック・アルバムに収録するとき、川本さんにレッスンしてもらいました」
川本「私も大好きな曲なので、自分の解釈などもアドバイスしましたが、とにかくちゃんと練習できているので、楽しませてもらった記憶しかありません」

 川本は、初挑戦というブロッホの「バール・シェム」より第2曲「ニーグン」と、ヴィオラにとっての宝物のようなブルッフの「ロマンス」を弾く。

川本「ブルッフは年老いてヴィオラ奏者に恋をして、だから晩年にヴィオラの作品が多いんです。これもとても甘い感じの曲で。笑里さんに捧げようと思って選びました」
宮本「うれしいです。この曲大好きなんです。すごく素敵!」

 デュオには、この編成の名曲中の名曲であるモーツァルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 第2楽章」を選んだ。さらに、二人が“イチオシ”の内緒の曲も用意しているそうなので、そこは当日のお楽しみ。

川本「笑里さんのヴァイオリンの素晴らしさを皆さんに伝えたいし、彼女の“波動”を取り入れて、私がちょっと変化するのも楽しんでください」
宮本「念願の共演。心して挑んでいきたいなと思います!」
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2021年9月号より)

Hakuju サロン・コンサート vol.10 宮本笑里&川本嘉子
一夜限り!? 宮本♥川本が贈るプレミアム・セッション
2021.11/5(金)19:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 
https://www.hakujuhall.jp