2021年12月の海外公演情報

Musikverein

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ9月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

【ご注意】
 新型コロナウイルス感染の影響により、本欄に掲載した音楽祭や劇場等の公演予定について、今後、重大な変更や中止・延期等の措置が施されて実際の公演内容と異なってしまう可能性も十分あり得ます。その点をご留意いただき、最新情報は必ず各音楽祭・劇場等のウェブサイトでご確認いただきますようお願いいたします。

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 今月もコロナ・パンデミック中の現地に行けない「妄想」の注目公演探しとなってしまうが、まずはウィーン・フィル。12月は定期演奏会にキリル・ペトレンコが客演する。しかも、ヴィオラのタメスティを独奏者とするシュニトケのヴィオラ協奏曲とスクリャービンの交響曲第3番「神聖な詩」という何ともペトレンコらしいというか、キレた曲目。コロナがなければ、絶対に現地に行っていたと思われる筆者好みの要注目演奏会。さらには、ウィーン・フィルでは、ウェルザー=メストの指揮するマーラーの交響曲第9番、8年振りに登場するバレンボイム指揮のニューイヤー・コンサート(12月中は同じ曲目でのプレコンサート)などの注目公演が並ぶ。

 一方のベルリン・フィルの方は、ペトレンコの振る年末恒例のジルヴェスター・コンサートは、コルンゴルトの「空騒ぎ」序曲やR.シュトラウスのバレエ曲「泡立ちクリーム」からの抜粋を組み合わせた魅力的な選曲。しかも、ヤンセンのヴァイオリン独奏によるブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番も注目プログラム。それに加えて、メータの指揮によるマーラーの交響曲第3番やネルソンス指揮のストラヴィンスキー「春の祭典」、ビシュコフ指揮のマーラーの交響曲第4番など、ペトレンコ自身が指揮してもおかしくないような曲目を他の指揮者に委ねた注目公演が続く。

 今、名前の出たメータは、最近ではフィレンツェ歌劇場での仕事振りが半端ない。12月はダヴィドセン、ザイフェルト、コニエチュニーという有名どころを歌手に揃えたベートーヴェンの「フィデリオ」を振るほか、オペラのオケでクリスマス前にはプッチーニの「グローリア・ミサ」やブルックナーの「テ・デウム」、年末にはベートーヴェンの第九を振る。11月以前には10月に「椿姫」(ドミンゴ出演)と「リゴレット」を連続上演、オーケストラの方も毎月必ず登場して、ベートーヴェン・ツィクルスやブルックナー交響曲第9番、ハイドン「天地創造」などの大曲を次々演奏する忙しさ。フィレンツェ歌劇場は急に注目歌劇場となってきた。

 オーケストラの要注目公演という意味では、ハーディング指揮のスイス・ロマンド管にアルゲリッチとピリスが客演してモーツァルトの「2台のピアノのための協奏曲」を弾くというオリンピックのスケボー解説的に言うと「ヤバイ」演奏会がある。これチケット買えるのだろうか。オーケストラでは、他にソヒエフ指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」、藤村実穂子を独唱に加えたネルソンス指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の年末の「第九」、才人指揮者カーチュン・ウォンによるバンベルク響での「第九」、サロネン=パリ管の演奏会、クリスティ=レザール・フロリサンによるヘンデルの「陽気の人、ふさぎの人、温和の人」、ソヒエフ=トゥールーズ・キャピトル国立管のベルリオーズ「幻想交響曲」と「レリオ」(フィルハーモニー・ド・パリ)、ラトル=ロンドン響によるマーラーの交響曲第4番とバルトークの「オケコン」など要注目。

 オペラでは、音楽監督ジョルダンが振るウィーン国立歌劇場での「ドン・ジョヴァンニ」プレミエ(同歌劇場では、ジョルダン指揮の「パルジファル」やメスト指揮の「ドン・カルロ」も要注目)、レージネヴァとファジョーリが共演するヘンデル「アグリッピーナ」(ハンブルク州立歌劇場)、ケルン歌劇場のブラウンフェルス「鳥たち」(指揮がロトでないのが残念)、リムスキー=コルサコフの「聖夜」(フランクフルト歌劇場でヴァイグレ指揮)、シュトゥットガルト歌劇場の「ラインの黄金」、ミラノ・スカラ座のヴェルディ「マクベス」、ヘンゲルブロック指揮のヘンデル「アルチーナ」(パリ・ガルニエ宮)など今月も多彩。他にもサヴァールやマケラの指揮、ソコロフのピアノ、野平一郎編曲のバッハなど注目公演は数々あるが、本文◎印をご参照のほど。 (曽雌裕一・そしひろかず)

(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)
(ぶらあぼ2021年9月号より)