喉に違和感を覚え4月半ばから演奏活動を休止していた指揮者の井上道義さん（67･オーケストラ･アンサンブル金沢音楽監督、大阪フィルハーモニー交響楽団首席指揮者）が、検査の結果｢咽頭がん｣と診断された。治療に専念するため、6月末まで演奏活動を休止する。所属するKAJIMOTO（梶本音楽事務所）が30日、明らかにした。
このため、5月に予定されていた公演については下記の通り変更、6月の公演については主催者と協議の上発表される。
〇井上道義さんからのメッセージ
有限な人生、今ともに生きる皆様へ
｢指揮をする人生｣を決心してから50年あまり。元気な身体と多少非常識な精神と喜びを持って、まっしぐらに走ってきました。2014年4月5日、大阪フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者就任演奏会のあと、少し時間に余裕が持てたため、以前から具合の悪かった喉を徹底的に診てもらったところ、リンパ腫または咽頭癌の疑いがある、ということで即刻入院の上、精密検査を行いました。そして、4月25日夕方に主治医より正式に｢咽頭癌｣と宣告を受けました。
ラ･フォル･ジュルネにて楽しみにしていた沢山のコンサートはもちろん、OEK音楽監督として当然参加すべき金沢での新人登竜門、今まで10回続けてきた大フィルのマチネ･シリーズ、名古屋にて2月から練習を共にして来た｢鐘｣｢長崎｣のロシア語プログラム、川崎ミューザでの伊福部生誕100年プロ、小曽根さんと初めてのラフマニノフ、チラシデザインから大いにこだわったシェエラザードは、どう考えても抗がん剤で頭がつるつる(！！)だろうし、練習は喉が焼かれていて指揮ができない状態でしょう。一緒に演奏できないことが残念でならない。7月以降どうなるかは、“神のみぞ知る”ですが、医者ははっきり治ると言ってくれました。今まで吸わなかったタバコや飲まなかったアルコール以上に、治療へのコストをかけて頑張るつもりです。
67歳、まだ巨匠とは言えない指揮者。この後もなれるかはわかりませんが、生き延びたらチャレンジしますから････どうぞここ2ヶ月は、お休みをください。ごめんなさい。
舞台で生きて来た井上道義は、舞台以外では死にません。
これを読んでくれたあなたと、また会える日まで♪
2014年4月28日 自宅にて
井上道義
〇井上道義さんが指揮する予定だった今後の公演
2014年5月18日（日）15:00開演
第13回北陸新人登竜門コンサート《ピアノ部門》
会場：石川県立音楽堂コンサートホール
指揮：金聖響（オーケストラ・アンサンブル金沢 アーティスティック・パートナー）
ピアノ：木米真理恵、塚田尚吾
管弦楽：オーケストラ・アンサンブル金沢
グリーグ／ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
サン＝サーンス／ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 Op.22 ほか
お問合わせ先：石川県立音楽堂チケットボックス TEL：076-232-8632
2014年5月21日（水）14:00開演
大阪フィルハーモニー交響楽団 マチネ・シンフォニーＶｏｌ.１１
会場：ザ・シンフォニーホール
指揮：大植英次（大阪フィルハーモニー交響楽団 桂冠指揮者）
ヴァイオリン：オリヴィエ・シャルリエ
管弦楽：大阪フィルハーモニー交響楽団
ベートーヴェン／ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ブラームス／交響曲 第2番 ニ長調 作品73
お問合わせ先：公益社団法人 大阪フィルハーモニー協会 TEL：06-6656-4890
2014年5月24日（土）17:00開演
グリーン・エコー第56回演奏会
会場：愛知県芸術劇場コンサートホール
指揮：ロッセン・ゲルゴフ
ソプラノ：ダリア・ダヴィードワ
アルト：アンナ・ヴィクトロワ
テノール：アレクサンドル・ボロデイコ
バス：コンスタンティン・スチコーフ
管弦楽：名古屋フィルハーモニー交響楽団
グリンカ／歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ラフマニノフ／合唱交響曲「鐘」op.35
シュニトケ／オラトリオ「長崎」op.19
お問合わせ先：グリーン・エコー（長円寺会館内） TEL：052-231-0955
2014年5月31日（土）15:00開演
現代日本音楽の夕べシリーズ第17回 伊福部昭 生誕100年記念コンサート
会場：ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮：大植英次
ピアノ：山田令子
二十五絃箏：野坂操壽
合唱：東響コーラス
管弦楽：東京交響楽団
伊福部昭／SF交響ファンタジー 第3番
伊福部昭／二十絃箏と管弦楽のための交響的エグログ
伊福部昭／ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ
伊福部昭／交響頌偈「釈迦」-バーリー語-
お問合わせ先：TOKYO SYMPHONYチケットセンター TEL：044-520-1511