2021年10月の海外公演情報

Wiener Staatsoper

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ7月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

【ご注意】
 新型コロナウイルス感染の影響により、本欄に掲載した音楽祭や劇場等の公演予定について、今後、重大な変更や中止・延期等の措置が施されて実際の公演内容と異なってしまう可能性も十分あり得ます。その点をご留意いただき、最新情報は必ず各音楽祭・劇場等のウェブサイトでご確認いただきますようお願いいたします。

↓それぞれの国の情報はこちらから↓

 2021/22シーズンの公演予定を発表する劇場がやっと増えてきたが、それでもまだまだ出揃っていない。そのため、今月も、積み残しの夏の音楽祭を含めた変則的な公演情報案内となっていることをご容赦いただきたい。

 まず、いささか馴染みの少ないオペラで恐縮だが、パリ・オペラ座のプレミエ公演、エネスクの「エディプス王」のキャストが凄い。ムアワッドの演出もさることながら、この曲にマルトマン、トムリンソン、ナウリ、クラーク、グバノワ、マルジェーヌ、フォン・オッターと歌手を揃えて、メッツマッハーが振るとなれば、現在のオペラ界ではもう最強の布陣。あるいは映像化もされるかもしれないが、可能であれば生で見たい逸品。同様に、ベルネームやペレチャッコなどが出演するハンブルク州立歌劇場の最初のプレミエ、オッフェンバック「ホフマン物語」も、ケント・ナガノの棒の下、注目度は高い。同じナガノの振るシューマン「ゲーテの『ファウスト』からの情景」(演出付)では、ゲルハーヘルの思索に富んだファウストが聴きもの。なお、ナガノはオペラのオーケストラの演奏会では、夫人の児玉麻里らの独奏によるモーツァルトの「3台のピアノのための協奏曲」や、クレーメルと組んだシュニトケのヴァイオリン協奏曲など意欲的な作品を採り上げる。それに加えて、エマールをピアノに据えたメシアン「トゥーランガリラ交響曲」(ミュンヘン・フィル)も要注目公演。

 6月上旬の来日リサイタルで、ベートーヴェン後期ピアノ・ソナタ3曲に飛びきりの秀演を聴かせたバレンボイムは、10月は指揮業に戻って、本拠地ベルリン州立歌劇場でモーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」のプレミエの他、シュターツカペレ・ベルリンの演奏会では、アルゲリッチやソルタニをソリストとしたシューマンの主要作品連続演奏と相変わらず精力的な仕事ぶり。さらに忘れてならないのは、ビエイトの演出するプロコフィエフの大曲「戦争と平和」(ジュネーヴ大劇場)と、シャンゼリゼ劇場でロトの振るドビュッシー「ペレアスとメリザンド」(プティボン、バルベイラク他出演。演奏はレ・シエクル)、ケイティ・ミッチェル演出のR.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」(リセウ大劇場)、ピション指揮ピグマリオン演奏のベートーヴェン「フィデリオ」(パリ・オペラ・コミーク)、英国ロイヤル・オペラのプレミエ、ヴェルディの「リゴレット」、同劇場でグリゴリアン、マッティラらの出演するヤナーチェク「イェヌーファ」、ビエイト演出のモンテヴェルディ「ポッペアの戴冠」(チューリヒ歌劇場)、ミラノ・スカラ座の「セビリアの理髪師」(シャイー指揮)と、ルセの指揮、ジャンスやストヤノヴァの出演するカヴァッリ「カリスト」、オランダ国立オペラのツェムリンスキー「こびと」(ヴィオッティ指揮、ダッシュ出演)等々、コロナの抑制を見据えて、秋からのオペラ界は何かとかまびすしい。

 オーケストラ関係では、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルの詳細な公演内容が未発表である(6月3日現在)ものの、サヴァール指揮コンセール・デ・ナシオンのベートーヴェン交響曲(フィラルモニー・ドゥ・パリ)、大野和士指揮のバルセロナ響、マケラ指揮のパリ管、ソヒエフ指揮のロイヤル・コンセルトヘボウ管(この組み合わせで今秋来日の予定あり)、ビシュコフ指揮チェコ・フィルのマーラー9番などどれも要注目。ゲルハーヘルとイザベル・ファウストの組み合わせも魅力的(ムジークフェライン/10月3日)。夏の音楽祭にはもう触れられないが、「インスブルック古楽音楽祭」、「プロムス」、「エディンバラ国際フェスティバル」等の◎印をご参照のほど。

(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)
(ぶらあぼ2021年7月号より)

【ご注意】
2021/22シーズンの公演予定を発表している劇場・オーケストラ等がまだ十分揃っていないため、本号では、先月号同様、これまで詳細が発表されずに未掲載になっていた夏の音楽祭(イギリスの「プロムス」等)の公演データも採り上げます。また、新シーズンの公演予定が発表されてた劇場については、適宜9月に遡って10月までの情報を通常通り記述しました。追加発表については、来月号以降で補填掲載します。
(ぶらあぼ2021年7月号より転載)