第10回神戸国際フルートコンクールの開催日程変更

第1次審査はオンライン開催に

 本年4月より開催予定だった第10回神戸国際フルートコンクール(主催:神戸国際フルートコンクール運営委員会/神戸市/神戸市民文化振興財団/日本演奏連盟/日本フルート協会)について、開催日程・審査形式の変更が決定し、4月5日に神戸市内で記者発表が行われた。

 当初は4月の予備審査を経て8月26日から9月5日までがコンクール期間だったが、変更後の日程は、予備審査を2ヶ月延期して6月に実施。第1次審査は対面方式からオンライン開催に変更され、8月26日から9月4日まで。第2次審査は2022年3月22日、23日、第3次審査は3月25日、そして3月27日に本選が行われ、3月28日の表彰式と受賞者による披露演奏会で締めくくられる。

左より:服部孝司、久元喜造、神田寛明(リモート参加)
写真提供:神戸市民文化振興財団

 申込の締め切りも1ヶ月延長し3月1日までとしたが、47の国と地域から過去最多492名の応募があった。
 およそ7ヶ月の延期の理由について、登壇した久元喜造・神戸市長は「どのような開催方法がいいのか検討してきた。コロナ禍で応募が減るのではないかと危惧していたが、蓋を開けてみると過去最多の応募数となり、大変喜んでいる。チャレンジしたいという音楽を志す若者の気持ちになんとか応えるため、まずはコンクールを開催したい、審査レベルを維持したいということで、運営委員会に議論していただいて決定した。コンクールに関わるすべての人のたちの安全を第一に開催したい」と述べた。

 リモートで登壇したコンクール運営委員長の神田寛明(NHK交響楽団首席フルート奏者/桐朋学園大学教授)は、オンラインに変更となる第1次審査について、「出場者、審査員などが一堂に会するオンライン・ミーティングも開催する予定。出場者から提出された動画は一般の方にも公開し、1次審査の結果発表もライブ配信する。コンテスタントだけでなく、世界中の多くの皆さまに見届けていただきたい」。

 また、服部孝司・神戸市民文化振興財団理事長は「第2次審査まで時間が空いてしまうので、その間にコンクールの機運を盛り上げていきたい。短いコンクールではできなかったことを、リアルとインターネット両方を使ってハイブリッド型でやりたい」として、新たな取り組みを発表。第2次審査に進出した出場者の人となりを伝えられる情報の動画での発信や、感染対策を取りながらの街角コンサート、フルートの歴史などの講座やワークショプ、学校訪問演奏会など、子どもから大人までフルートの魅力を楽しめるイベントを予定している。また、併せて「コロナ禍におけるアーティストの救済の機会も与えていきたい。駅ピアノなどを利用して演奏機会を積極的に提供し、フルートにかかわらず様々な楽器でコンクールをアピールしできれば」と神戸国際フルートコンクールの新しい試みについて意気込みを語った。

 今回、コンクール開催に踏み切れた決め手として、「第10回という記念の節目で、ぜひ参加したいという応募者がいたこと、そして、ぜひ開催したいというスタッフの熱意」を挙げた神田。エマニュエル・パユをはじめ多くの優れたフルート奏者を輩出してきたコンクールが、オンライン審査を導入し、コロナ禍におけるコンクールの新たな形を提示する。
 
神戸国際フルートコンクール
https://kobe-flute.jp