「かくあるべき」名演に期待
ミュンヘン国際コンクールで第3位入賞後もヨーロッパで研鑽を重ね、2012年に帰国。満を持して本格的な活動に入ったウェールズ弦楽四重奏団。東京クヮルテットを受け継ぐ新世代の若手として注目を集めている。そんな彼らがこの度、Hakuju Hallの新たなレジデント・アーティストに就任。持ち前の研ぎ澄まされた実力を披露すべく、3回シリーズの公演を行う。第1回は、ハイドンの第75番、ウェーベルンの「6つのバガデル」、ベートーヴェンの第16番という時代も様式も多様な3曲を演奏。ハイドンの巧みな筆致とユーモア、6曲で僅か数分の演奏時間に技巧の粋を尽くしたウェーベルン、そしてベートーヴェンが最後の弦楽四重奏曲に込めた万感の思い。それらを整然と弾き分けてみせるに違いない。ちなみに、ベートーヴェンは本作の自筆譜の最終楽章の導入部に「かくあらねばならぬか」と記し、第1主題に「かくあるべし」と添えている。まさに「かくあるべき」名演を期待しよう。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2014年1月号から)
★3月7日(金)15:00 19:30・Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp