【CD】ウィテカー 聖なるヴェール/ウィテカー&ロサンゼルス・マスター・コラール

 人気作曲家のエリック・ウィテカーが、友人の詩人が妻の死を綴った詩を合唱曲として音楽化。両者の緊密な協業によって美しくも切ないレクイエムが生まれた。タイトルの「聖なるヴェール」はこの世とあの世を分けるカーテンを示唆し、詩人夫婦の出会い、出産、癌が発見された時の絶望から別れまでが全12楽章にまとめられている。哀惜の念の表現はシンプルなだけにいっそう痛々しいが、詩人はこれだけの言葉を紡ぐことができるようになるまでに10年を要したという。ロサンゼルス・マスター・コラールが深々とした共感をもって歌い上げた。別れに苦しんでいる人々に慰めを与える音楽だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年12月号より)

【information】
CD『ウィテカー 聖なるヴェール/ウィテカー&ロサンゼルス・マスター・コラール』

ウィテカー:「聖なるヴェール」全曲(ヴェールが開く、暗く遠く離れた年に、家、マグネティック・ポエトリー、最後の一息、親愛なる友たち、君は立ち上がり 私は倒れる、奇跡の子 他)

エリック・ウィテカー(指揮)
ロサンゼルス・マスター・コラール
リサ・エドワーズ(ピアノ)
ジェフリー・ジーグラー(チェロ)

東京エムプラス
PSIGCD630 ¥2857+税