小澤征爾音楽塾2014 《フィガロの結婚》

凝縮された表現方法を追究した独自のスタイルに期待

(c)Shintaro Shiratori

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 2000年に、小澤征爾が若手音楽家を実践的に育成することを目的に始めた小澤征爾音楽塾。オペラ公演を活動の中心に置き、これまでに《フィガロの結婚》、《コジ・ファン・トゥッテ》、《ドン・ジョヴァンニ》、《こうもり》、《ラ・ボエーム》、《セビリャの理髪師》、《カルメン》、《ヘンゼルとグレーテル》などを上演してきた。ここ数年は、小澤の体調不良により、公演がキャンセルされることもあったが、2014年には再び、《フィガロの結婚》が取り上げられる。
今回の《フィガロの結婚》は、これまでの通常のオペラの舞台の形式ではなく、「オペラ・ドラマティコ」というスタイルで上演される。小澤は、ボストン交響楽団でデイヴィッド・ニースとともにセミ・ステージのコンサート・オペラに取り組んできた。今回、小澤とニースは、大掛かりな装置や装飾を排除して、音楽や物語の本質を凝縮させるスタイルとして、「オペラ・ドラマティコ」の手法を用いる。オペラの演奏会形式上演でもセミ・ステージ上演でもなく、通常のオペラ劇場で、大掛かりな装置に頼ることなく、凝縮された表現方法を追求して、小澤征爾音楽塾オリジナルの舞台を作り上げる。
 キャストは、フィガロにウェイン・ティグス、スザンナにデヴン・ガスリー、アルマヴィーヴァ伯爵にクレッグ・ヴァーム、伯爵夫人にシャーン・デイヴィース、ケルビーノにリディア・トイシャー、バルトロにデニス・ヴィシュニアという若手中心の布陣。これまで小澤征爾音楽塾は優れた歌手を数多く輩出してきた。その代表的な例としては、今はメトロポリタン歌劇場の人気歌手であり、現代最高のドン・ジョヴァンニといわれる、マリウシュ・クヴィエチェンがあげられる。彼は、小澤征爾音楽塾の《ドン・ジョヴァンニ》(2002年)のタイトル・ロール、《ラ・ボエーム》(2004年)のマルチェッロを歌っていた(ただし、そのときのカタカナ表記は「マリウス・キーチェン」であった)。また、《ラ・ボエーム》(2004年)には、ムゼッタ役でアンナ・ネトレプコも参加していた。今回の公演から将来誰がブレイクするのか、そんな予測もオペラを観る楽しみの一つである。
 《フィガロの結婚》は上演が長時間に及ぶゆえ、今回は小澤の体調を考慮してであろう、小澤とテッド・テイラーが指揮を分ける形になる。しかし、小澤は、8月のサイトウ・キネン・フェスティバル松本でラヴェル《こどもと魔法》をすべてを指揮し、コンサートでは、サイトウ・キネン・オーケストラ、大西順子トリオとともにガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏するなど、完全復活が近いことを予感させた。《フィガロの結婚》は第1回小澤征爾音楽塾公演で取り上げ、ウィーン国立歌劇場でも指揮した、小澤の十八番ともいえる演目。小澤がますます深まった境地を披露してくれることだろう。
文:山田治生
(ぶらあぼ2014年1月号から)

Information
小澤征爾音楽塾2014
オペラ・プロジェクトⅩⅡ《フィガロの結婚》
★2014年3月16日(日)15:00・よこすか芸術劇場
3月19日(水)18:30・愛知県芸術劇場
3月22日(土)15:00・びわ湖ホール
3月26日(水)18:30・東京文化会館

問:小澤征爾音楽事務所東京公演事務局 0570-084-735
ローソンチケット:http://l-tike.com/classic/ongakujuku/