熊倉 優(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

期待の若手指揮者と世界的奏者も登場する注目のステージ


 夏場から各地のオーケストラが、多くの制限や変更はありながらも、そこに個性や新味を加えて活動を再開している。特に、これまで体験できる機会の少なかった国内の若手指揮者の登場が多くなり、フレッシュな演奏を聴けるチャンスが増えていることは、大いに歓迎したい。

 新日本フィルは10月定期演奏会に注目の指揮者、熊倉優を迎える。今年28歳という若さながら、第18回東京国際音楽コンクール〈指揮〉第3位などの入賞歴に加えて、すでにN響のアシスタントを3シーズン務め、音楽祭など公式の演奏会でN響を振り、鮮烈な演奏が評判になるなど、この年代で最も期待を集める指揮者のひとりである。先日テレビ放送されたN響活動再開の収録演奏を任されたことも、彼への信頼の厚さを物語る。今回は新日本フィルの定期に初登場、さらなる飛躍の場となるに違いない。また、新日本フィルは活動休止期間を経ても高い演奏水準を維持していて、7月定期では今年26歳の太田弦の指揮で快演を実現するなど、「期待の若手」との相性も良い。今回熊倉が聴かせるのはチャイコフスキーの交響曲第4番。情熱あふれる超名曲で、存分に彼の音楽が爆発するのを楽しみにしたい。

 この日は前半に世界的ヴァイオリニスト、竹澤恭子が登場し、ブラームスの協奏曲を弾くのも注目。日本を代表する名手である竹澤のブラームスとなれば、最高の聴きものとなる。さらに若きマエストロとの共演ということで、新しいタイプの名演への期待も高まる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2020年10月号より)

第625回 定期演奏会 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉
2020.10/8(木)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp