ベン・グラスバーグ(指揮) 読売日本交響楽団

欧州を沸かす新鋭とハープの貴公子が放つめくるめく色彩美


 読売日本交響楽団の東京芸術劇場でのマチネーシリーズに、2017年、ブザンソン国際指揮者コンクールに23歳で優勝した、イギリス出身の新鋭ベン・グラスバーグが登場する。彼は、ケンブリッジ大学卒業後、英国王立音楽院でシャーン・エドワーズに師事した。これまでに、ロンドン・フィル、ロイヤル・フィル、BBC交響楽団、フランス放送フィル、デトロイト交響楽団などを指揮。17年《皇帝ティートの慈悲》を指揮してグラインドボーン音楽祭にデビューした。その後、同音楽祭で《蝶々夫人》や《椿姫》なども手がける。また、ザルツブルク音楽祭にもデビューしている。日本では今年1月に東京交響楽団を指揮した。

 今回は、モーツァルトの歌劇《ドン・ジョヴァンニ》序曲、交響曲第31番「パリ」、ラヴェルの「ボレロ」などを指揮。モネ劇場で《ダ・ポンテ三部作》に取り組むなど、モーツァルトを得意としているグラスバーグだけに、「パリ」では新鮮な演奏を聴かせてくれるに違いない。若き逸材が作り出す音楽に注目である。

 18世紀末から19世紀初頭にかけてフランスで活躍したボワエルデューのハープ協奏曲では、同国出身の名手、グザヴィエ・ドゥ・メストレが独奏を務める。実力&人気でトップを行くメストレによる優美な演奏が楽しめるだろう。

 ラヴェル、ボワエルデューなどのフランス音楽にモーツァルトの「パリ」を加えた、フランスに関わりの深いプログラム。休日の午後にふさわしい華やかなコンサートになりそうだ。
文:山田治生
(ぶらあぼ2020年5月号より)

*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は中止となりました。(5月5日主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

第227回 土曜マチネーシリーズ 2020.5/23(土)
第227回 日曜マチネーシリーズ 2020.5/24(日)
各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp