高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

最高の歌手陣とともに集大成として臨む《トスカ》


 常任指揮者の高関健とともに躍進する東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団が、3月定期演奏会でプッチーニの歌劇《トスカ》(演奏会形式)に挑む。東京シティ・フィルの演奏会形式上演のオペラといえば、2000年代に当時の常任指揮者(現 桂冠名誉指揮者)、飯守泰次郎の指揮で《ニーベルングの指環》全曲など数々のワーグナー作品を取り上げ、大きな話題を集めた。同楽団は最近も年に1回オペラに取り組むが、高関が「その集大成として選んだ」と語る《トスカ》は、マエストロにとって思い入れのある作品だ。
 桐朋学園大学卒業後、カラヤンのアシスタントを務めていたベルリン留学時代、カラヤン指揮ベルリン・フィルの《トスカ》に衝撃を受けたという。舞台が作られてなくても、プッチーニの音楽がもつ激しく厳しい情熱、オーケストラの精妙な響きや多彩な表現などストレートに訴えかけてきた。その体験は忘れ難く、今回満を持して取り組む。

 タイトルロールは世界的に活躍する木下美穂子、カヴァラドッシ役は小原啓楼、スカルピアの上江隼人、アンジェロッティの妻屋秀和ら、舞台経験豊富な、いま日本で《トスカ》を上演するのに最高の歌手たちが揃う。各幕の名アリアをはじめ、全編に溢れるプッチーニの甘美な旋律をドラマティックに歌い上げるだろう(合唱:東京シティ・フィル・コーア)。
 楽譜を緻密に分析し、常に新たな切り口を示してくれる高関。《トスカ》でも豪華かつ刺激的な演奏に期待が高まる。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2020年3月号より)


*新型コロナウイルスの感染症の拡大防止の観点から、本公演は延期となりました。(3/3主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

第332回 定期演奏会 
2020.3/14(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp