【SACD】メンデルスゾーン&ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番/椿三重奏団

 グループ名に冠された「椿」の白い花のイメージの通り、たおやかな調べ。しかし、時には、凄みや骨太さすらも織り込んで、多層的な響きの世界を形創る。十年来の共演歴のある女性奏者たちが、満を持して結成したトリオのデビュー盤。粒立ちと流れの良さを両立させる、高橋多佳子の絶妙なバランス感覚と、礒絵里子の艶やかさ、新倉瞳の豊潤さが、三位一体に。メンデルスゾーンとブラームスのピアノ三重奏曲に現れ出でる、変幻自在な光と影を、繊細かつ巧みに掬い取り、作品の本質へと肉薄してゆく。そう、「白い椿」の花言葉の中には、「完璧な美しさ」もあるという。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年3月号より)

【information】
SACD『メンデルスゾーン&ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番/椿三重奏団』

メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番/ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番、ハンガリー舞曲第6番、ワルツ第15番/モンティ:チャルダーシュ

椿三重奏団
【高橋多佳子(ピアノ) 礒絵里子(ヴァイオリン) 新倉瞳(チェロ)】

アールアンフィニ
MECO-1057 ¥3000+税