パスカル・ヴェロ(指揮) シエナ・ウインド・オーケストラ

吹奏楽サウンドの粋を凝縮したロシア・プロ


 1990年の結成であるから今年が活動開始30年。常にハイレベルな演奏とサプライズを含むパフォーマンス、アイディア豊かなコンサート・プログラム等々により、吹奏楽という枠を超えて高い評価を受けてきたシエナ・ウインド・オーケストラ。その本拠地、東京の文京シビックホールにおいて開催される第49回定期演奏会は、日本国内のオーケストラで数多くのコンサートを指揮してきたパスカル・ヴェロが登場。ロシアの音楽をテーマとして、色彩的なスコアリングによる4つの作品が演奏される。

 プログラムのメインとなるのは、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」(上埜孝編、抜粋)。原曲もサクソフォンなど管楽器がソロを聴かせるバレエ音楽であり、独特のメロディやハーモニー、転調の妙などがシエナの演奏で息づく。ショスタコーヴィチの「ジャズ組曲第2番」(デ・メイ編)はパレードのような音楽で幕を開ける全8曲の組曲であり、シエナのデモンストレーション・ナンバーとしても最適だと思われる音楽だ。ラフマニノフの「パガニーニ狂詩曲」は、今や吹奏楽シーンで確固たる人気を築いた森田一浩編曲ヴァージョンで。そして大御所、ヨハン・デ・メイによる「エクストリーム・メイクオーヴァー」は、チャイコフスキー作曲の「アンダンテ・カンタービレ」や「ロメオとジュリエット」をモティーフに展開される、約15分の“響きの愉悦”だ。
 シエナだからこそ!の演奏を体験してほしい。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2020年2月号より)

第49回 定期演奏会 
2020.2/8(土)15:00 文京シビックホール
問:シエナ・ウインド・オーケストラ事務局03-3357-4870 
https://sienawind.com