名古屋二期会 オペラ《月の影》 −源氏物語−

古典文学の世界を雅なるステージへと転化した音絵巻


 早春の3月、名古屋二期会と名古屋市芸術創造センターの連携公演で尾上和彦の《月の影》が上演される。尾上は、1942年生まれの奈良市在住の作曲家。劇音楽や舞台作品を数多く手がけ、なかでも《仏陀》、《藤戸》(『平家物語』による)、《法然・親鸞》など、日本の古典作品を題材にした作品に力を注いでいる。『源氏物語』を題材に書かれた《月の影》(台本:ツベタナ・クリステワ)は、2009年の舞台初演以来、『源氏物語』ゆかりの滋賀県石山寺や京都の春秋座等で上演を重ねてきた。原作者の紫式部を語り役とし、光源氏と彼をめぐる女性たちが登場。物語のなかで詠まれる和歌をアリアに、その現代語訳をレチタティーヴォに振り分け、日本語の語感を大切にした音楽が付された。

 「月の影」とは、生まれながら陰にして光を放つ定めにあった光源氏その人で、彼の輝かしくも哀しい人生が描かれる。今回は、光源氏(本多信明/平尾憲嗣)、頭中将(鳴海卓/鈴木啓之)、紫上(加川文子/小坂井直美)、六条御息所(水谷映美/渡部純子)、紫式部(森本ふみ子/荻和子)ら、名古屋二期会、名古屋オペラ協会、名古屋演奏家ソサエティーの若手からベテランまで、ダブルキャストでの上演だ。演出は、舞台経験豊富な俳優で、日本舞踊・西川流名取の景山紀子。日本の伝統美を伝えるとともに、艶やかな女性の世界も切り開いてくれるだろう。名古屋を拠点に活躍する指揮の倉知竜也は、尾上の信頼も厚い。器楽は名古屋二期会管弦楽団のメンバー。春に相応しい華やかな舞台が楽しみだ。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2020年2月号より)

2020.3/7(土)13:00 18:00、3/8(日)11:30 16:30 名古屋市芸術創造センター
問:名古屋二期会052-380-5416 
http://nagoya-nikikai.jp

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