台湾フィルハーモニック室内楽コンサート

躍進著しい台湾フィル・メンバーらによる室内楽の夕べ


 東洋人だからこその、繊細な感性で紡がれる調べを共有したい。躍進著しいアジアのオーケストラの中にあって、特に国際的な評価を高めているのが、台湾フィルハーモニック。好評を博した2019年春の日本ツアーで、ソリストを務めたリチャード・リンら、楽団ゆかりの名手や首席級が集う室内楽の夕べが開かれる。

 1986年に設立され、ウィーンをはじめ欧州やアジアでも公演を行い、独特の感性に基づく熱演が、大きな反響を呼ぶ台湾フィル。「私たちアジア人には、一度に全てを語り尽くさぬ、ユニークな芸術性がある。だから、時に西洋の音楽家を凌駕する解釈も可能です」と、音楽監督のリュウ・シャオチャは言う。

 「東京オリンピック・イヤー」の文化イベントの一環として、台湾文化部(文化省)の支援で開く、今回のコンサート。2018年にインディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールを制した俊英リンやアメリカで活躍するチェリスト、フェリックス・ファンをはじめ、首席クラリネット奏者のメイ=リン・ジュ、副コンサートマスターを務めるヴァイオリンのハオ=トゥン・テンと副首席チェロのイ=シエン・リエンら台湾の名手に加え、さらに日本からヴィオラの大山平一郎らも参加する。

 ステージでは、欧米でもその作品が演奏され活躍する台湾の作曲家シアン・チャンが、独自の言語や文化を保持する民族「客家」出身の画家ルーソン・シャオの絵画にインスパイアされて作曲した「クラリネットと弦楽四重奏のための『捻土』」を世界初演。そして、アメリカを中心に国際的に活躍する、ピアニストのペイ=ヤオ・ワンを迎えて、ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番」とドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番」を披露する。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2020年1月号より)

2020.1/21(火)19:00 Hakuju Hall
問:アスペン03-5467-0081 
https://www.aspen.jp