昨今評価が進むアレンスキーのピアノ五重奏曲を、中野真帆子とエリゼ四重奏団による上質なアンサンブルが録音。コンサートでもこの作品を取り上げていた彼らが、すでに5年前に収録していた音源で、満を持してのリリースとなった。優美かつ芯の強さを感じさせる中野のピアノと、ロシアものを得意分野の一つとするエリゼSQとの絶妙なバランスにより、アレンスキーの流麗な旋律と、推進力溢れる和声がじつに輝かしく響く。若き日のラフマニノフが残した二つの弦楽四重奏曲(どちらも未完)もエリゼSQが丁寧な演奏で収録した、ロシア室内楽への愛に溢れる一枚。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2020年1月号より)
【information】
CD『アレンスキー:ピアノ五重奏曲 他/中野真帆子&エリゼ四重奏団』
ラフマニノフ:弦楽四重奏曲第1番・第2番/アレンスキー:ピアノ五重奏曲
中野真帆子(ピアノ)
エリゼ四重奏団
【ユスティナ・ザヤンチャウスカイテ ロラン・ル・フレシェ(以上ヴァイオリン) アンドレイ・マラーホフ(ヴィオラ) イーゴリ・キリチェンコ(チェロ)】
CONTINUO Classics/キングインターナショナル
CC777-724 ¥オープン