ベートーヴェン音楽の集大成に挑む
アグレッシヴなプレイと新鮮なサウンド創りで、世界中の音楽ファンを魅了するドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団(DKP)が、芸術監督のパーヴォ・ヤルヴィに率いられて、待望の再来日を果たす。2006年に敢行したベートーヴェンの交響曲ツィクルスが大反響を巻き起こした横浜の地では、同じ楽聖の作品から唯一のオペラ《フィデリオ》全曲(演奏会形式)を上演。このコンビでは、日本でのオペラの初披露となることもあって、大きな話題となっている。
1980年創立で、プロ化されたのはその7年後と歴史は浅いながらも、楽員によって自主的に運営されているDKPは、楽団内の士気も非常に高い。創立当初から、高い音楽性と技術力で注目を浴びてきたが、特に2004年にヤルヴィが芸術監督に就いてからは、鮮烈な音楽創りで世界の一流楽団に名を連ねるように。このコンビでは、日本でもベートーヴェンやシューマンの交響曲の快演を披露し、今も語り草となっている。
“ベートーヴェン・ツィクルスの集大成”と位置付けられる、今回の《フィデリオ》。ベートーヴェンが、自らの理想とする自由思想や夫婦愛を、痛快な活劇譚へと昇華した名オペラを、ヤルヴィとDKPは果たして、どう聴かせてくれるのだろうか。バイロイト音楽祭でも活躍を続けるブルクハルト・フリッツ(フロレスタン)、ウィーン国立歌劇場をはじめ世界の檜舞台に立つエミリー・マギー(レオノーレ)やファルク・シュトゥルックマン(ドン・ピツァロ)ら“今が旬”の豪華キャストも相まって、期待は高まるばかりだ。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2013年11月号から)
★11月28日(木)、30日(土)・横浜みなとみらいホール Lコード 34786
問 横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000
http://www.yaf.or.jp/mmh