神奈川フィルが2020−21シーズン主催公演ラインナップを発表

 神奈川フィルハーモニー管弦楽団の2020-21シーズン主催公演についての記者発表が10月15日横浜にて行われた。登壇者は理事長 上野孝、専務理事 櫻井龍一、音楽主幹 榊原徹、そして常任指揮者の川瀬賢太郎の4名。

左より:川瀬賢太郎、上野孝
写真提供:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

 ラインナップでまず目を引くのは、定期演奏会初登場の指揮者が多いことだ。韓国出身のシーヨン・ソン、大植英次、そしてドイツ出身のガブリエル・フェルツ。ソンは、神奈川フィル定期初の女性指揮者。木嶋真優のヴァイオリンでブルッフの「スコットランド幻想曲」、メインはドヴォルザークの8番というプログラム。定期初出演が意外な印象の大植は、ベートーヴェンとチャイコフスキーの交響曲5番という王道プロ。フェルツはベートーヴェン生誕250年にちなみ、ピアノ協奏 op.61.a(作曲者本人によるヴァイオリン協奏曲からの編曲版)という珍しい曲を取り上げる。他にも、2015年の作品で日本初演となるジャズ・トランペットの巨匠ウィントン・マルサリスによるヴァイオリン協奏曲を、同楽団首席ソロ・コンサートマスターの石田泰尚が演奏する。川瀬が「冒頭を聴いた瞬間に石田さんに弾いてもらいたい」と感じたという興味深い選曲だ。

 また、全3回の音楽堂シリーズではモーツァルトをテーマにしたプログラムが組まれている。川瀬がタクトをとる21年1月の公演ではモーツァルト・シンガーズ・ジャパン(MSJ)との共演で《魔笛》(MSJ特別版)を取り上げる。自身が「神奈フィルの《魔笛》は日本一」と自信を持って語るほど。聴き逃せない公演だ。

 そして、2020年は創立50周年を迎える神奈川フィルにとって節目の年。11月にはそれを記念した特別演奏会が催される。演目は川瀬が「プログラム会議でずっと提案し続けてきた」という大曲、マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」。14年の常任指揮者就任から7年目を迎える来季、オケとの関係もますます深まってきており充実したシーズンとなりそうだ。

川瀬賢太郎
Photo:M.Suzuki/Tokyo MDE

神奈川フィルハーモニー管弦楽団
https://www.kanaphil.or.jp/