ドビュッシーとショパンに聴く詩情溢れるピアニズム
ジャン=クロード・ペヌティエがトッパンホールで日本初の本格リサイタルを開いたのは2014年。ほんの5年前、彼が72歳を目前にしたタイミングだったのは意外に思われるかもしれない。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭の出演が多く、日本でも着々とファンを増やしているペヌティエ。16年5月と17年10月は体調不良や怪我のためリサイタルを見送ったものの、いずれもキャンセルではなく延期という形で、7ヵ月後にはトッパンホールに登場し、約束のプログラムを聴かせてくれたことは記憶に新しい。今年は5月のラ・フォル・ジュルネに出演し、マスタークラスも精力的にこなした。5回目のトッパンホールでのリサイタルは間もなくだ。楽しみでならない。
今年のプログラムは、ドビュッシーとショパンという組み合わせである。ドビュッシーはホールからのリクエストであり、ショパンはペヌティエ自身の希望とのこと。「月の光」や「パスピエ」が入ったドビュッシーの名曲「ベルガマスク組曲」で幕を開け、若き日のショパンによる最初の4つのマズルカop.6へとつなぐ。晩年の「舟歌」へと移り、同主調のノクターン第14番嬰へ短調へという美しい流れ。ドビュッシーは後半にも「版画」と「ピアノのために」を取り上げる。繊細さだけではない、時に骨太で、時に流麗な、立体感あふれるペヌティエのピアニズムを、じっくりと堪能できそうなプログラムに、大いに期待が膨らむ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2019年11月号より)
2019.11/8(金)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com/