オール無伴奏一本勝負、ふたたび
「時、大陸、様式を超えた、聴き手の皆さんとの旅」。名手ひしめくフルート界にあって、今もなお人気・実力ともに「ナンバーワン」のスーパースター、エマニュエル・パユ。たった一人、1時間で臨むオール無伴奏リサイタル「SOLO」を、彼はこう表現する。
今回の第2弾では、パユが「ソロ作品の港」と位置付ける、バロックの巨匠テレマンによる「12の幻想曲」(1727年出版)から6曲を大枠に。そこに、世界で初めてプラチナ製フルートが作られた際に委嘱された、ヴァレーズ「密度21.5」をはじめ、ベリオ「セクエンツァⅠ」、オネゲル「牝山羊の踊り」など5つの20世紀の佳品を挟み込む。
「時を通じての人類の進化、音楽文明やフルート製造の発展、ペースやスピードの感じ方の変化に何が起こってきたのかを、私たちはより良く見極めることができる」と語るパユ。しなやかな音楽性と変幻自在の多彩な音色、圧倒的なテクニックと気迫で臨む“真剣勝負”は、「なぜ演奏するのか」「なぜ聴くのか」という根源的な問題へ、ひとつの答えをもたらしてくれるに違いない。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年11月号より)
2019.12/2(月)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp/