中桐望による待望のセカンド・アルバムは「ショパンの歌」。オペラをこよなく愛したというショパン。中桐は2014年から2年間のポーランド留学を経て、彼の音楽に「歌うこと」の大切さを見出し、それを自身の思い入れ深い作品群に込めた。独奏版のピアノ協奏曲第2番第2楽章、バラード第3番、舟歌に、柔らかくも芯の強さを滲ませ、絶妙な間合いと呼吸感に、一回りもふた回りも成長した中桐の音楽的確信が感じられる。正統的解釈と自由な歌心とのせめぎ合いが楽しいスケルツォ第2番、この上なくエレガントな「小犬のワルツ」など、聴きどころ満載だ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2019年8月号より)
【information】
CD『ショパンの歌 ―ショパン ピアノ作品集―/中桐望』
ショパン:ロンド、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、ノクターン第20番(遺作)、ピアノ協奏曲第2番より第2楽章(ピアノ独奏版)、バラード第3番、スケルツォ第2番、ワルツ第6番「小犬のワルツ」・第7番・第8番、舟歌
中桐望(ピアノ)
オクタヴィア・レコード
OVCT-00166 ¥3000+税