山響 さくらんぼコンサート2019 東京公演

新時代の到来を告げるオペラ・ガラ


 山形交響楽団が毎年6月に開催している「さくらんぼコンサート」。“食と温泉の国のオーケストラ”のキャッチフレーズにふさわしく、ロビーで山形物産展も同時開催して人気のコンサートだ。

 今年は、常任指揮者に阪哲朗が就任したことを記念してのオペラ・ガラで、人気のソプラノ森麻季と新進気鋭のバリトン大西宇宙(たかおき)が出演する。阪は、ベルリン・コーミッシェ・オーパーやウィーン・フォルクスオーパーをはじめとするヨーロッパ各地の歌劇場で活躍してきたことで知られる。就任記念をオペラ・ガラで飾るのは、オペラ指揮者としての手腕を発揮してきた阪にふさわしいといえるだろう。森は、今さら紹介するまでもない世界的な人気ソプラノ。その透明感のある美しい歌声で紡ぎ出される音楽は、聴き手を包み込むようなあたたかさを持っている。そして大西は、シカゴ・リリック・オペラなどアメリカで研鑽を積み、近年めきめきと頭角を現してきたバリトンだ。そんなふたりが歌うのは、モーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》《コジ・ファン・トゥッテ》からのアリアと二重唱、そしてヴェルディの《リゴレット》からの二重唱など。

 もちろん、モーツァルトの「セレナータ・ノットゥルナ」と交響曲第36番「リンツ」など、シンフォニー・オーケストラとしての山響の魅力が味わえるプログラムも用意されている。初夏のひとときを楽しむ音楽会の予定に、ぜひこの「さくらんぼコンサート」を加えてみてはいかがだろうか。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2019年6月号より)

2019.6/28(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 
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