【CD】ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集 vol.3/カントロフ&上田晴子

 2012年にヴァイオリニスト活動を休止した巨匠カントロフ。幸いにも17年に活動再開し、この2〜3月には日本ツアーで新境地を聴かせてくれた。当盤は活動休止前に収録したベートーヴェン・ソナタ全集の完結編。緊張感を内包しつつあえて淡々と進みながら、大事な瞬間では凄まじい切れを見せ、居合の達人とでも例えたくなる無二の世界観を確立。どの曲も独特の覇気と軽みがあり、「クロイツェル」では力強さの中に洒脱さも忘れない。10番における枯淡の音色の美しさは格別で、作曲者40代の作品から後期の深遠さを引き出し、流麗で意味深い上田のピアノと共に、強く胸を打つ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年4月号より)

【Information】
CD『ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集 vol.3/カントロフ&上田晴子』

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番・第2番・第9番「クロイツェル」・第10番/フンメル:ソナタ op.64より/ラロ:ギター op.28

ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)
上田晴子(ピアノ)

コジマ録音
ALCD-7230,7231(2枚組) ¥3400+税

  • La Valseの最新記事もチェック

    • 勅使川原三郎(ダンサー・振付家・演出家)ロング・インタビュー Part1
      on 2020/02/19 at 02:22

      interview & text :岡見さえ photos:野口 博 世界的な振付家、ダンサーであることはもはや言を俟たず、さらに4月より愛知県芸術劇場芸術監督就任が話題を呼んでいる勅使川原三郎。3月の新作世界初演は、東京芸術劇場と愛知県芸術劇場で上演される『三つ折りの夜』だ。19世紀フランス象徴派の詩人ステファヌ・マラルメの詩にインスピレーションを得て、勅使川原が演出・振付・照明・美術を担当、佐 [&#8230 […]