いま最も旬な二人の歌手を迎えてのモーツァルト三昧の午後
トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニアは、1995年の三鷹市芸術文化センター開館時に、地元出身の指揮者・沼尻竜典が呼びかけて同ホールを拠点にスタートしたトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズが、創立20周年を機に改称、2016年から現称で活動している(どちらも「TMP」)。メンバーは国内外のオーケストラやソロで活躍する日本人奏者たち。本誌読者のような熱心なクラシック・ファンにはおなじみの顔と名前が並ぶ豪華布陣だ。名称が変わっても、モーツァルトはレパートリーの一定の軸。3月に行われる第78回定期演奏会も「ほぼモーツァルト」だ。軽快な「ディヴェルティメント K.138」で幕を開けると、前半は、海外でも大注目を浴びている、中村恵理(ソプラノ)と藤木大地(カウンターテナー)、二人の旬の歌手を迎えてオペラ・アリアやデュエットをたっぷり楽しめるプログラムが組まれた。発表されている曲目は、《フィガロの結婚》《ドン・ジョヴァンニ》《皇帝ティートの慈悲》《イドメネオ》などやはりモーツァルトが中心(藤木の〈オンブラ・マイ・フ〉も)。日本人歌手としては貴重な、声の密度の濃い、ボディのしっかりしたリリコの持ち主の中村と、声の安定感や歌の「上手さ」がずば抜けている藤木。ただ美しいだけではない、二人の豊かな表現の共演を堪能したい。プログラム後半はモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。指揮はもちろん音楽監督の沼尻竜典。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2019年2月号より)
2019.3/9(土)15:00 三鷹市芸術文化センター
問:三鷹市スポーツと文化財団0422-47-5122
http://mitaka-sportsandculture.or.jp/