アルバムの副題はランボーの詩集からとられたもので、ルイ14世の時代から受け継がれたフランス芸術を味わうというコンセプト。柔らかい輝きを放つ音で奏でられるクープランとラモー、瀟洒な色と落ち着きを感じるモーツァルトの「ソナタ K.310」と、香り高い音楽が続く。フォーレの夜想曲第6番は、深い歌声のような表現が印象的。ショパンのソナタ第3番は、1フレーズずつ慈しむように奏でられる。藤井自身の作である「宮島の鳥居に波は震える チェロとピアノのための」では、神々しく光る水面を表すようなピアノに横坂源のチェロが重なり、夢幻的な空気を創出する。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2018年12月号より)
【information】
CD『ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 〜イリュミ ナシオン 光り輝く事〜/藤井一興』
F.クープラン:神秘的な防壁、キタイロンの鐘/ラモー:鳥のさえずり/モーツァルト:ピアノ・ソナタ イ短調 K.310/フォーレ:夜想曲第6番/ショパン:ピアノ・ソナタ第3番/藤井一興:宮島の鳥居に波は震える チェロとピアノのための
藤井一興(ピアノ)
横坂源(チェロ)
収録:2018年3月、東京文化会館(小)(ライヴ)他
マイスター・ミュージック
MM-4044 ¥3000+税