かつて、手兵のテレマン室内オーケストラとピリオド楽器でベートーヴェン交響曲全集をリリースした延原武春が、モダン・オケの指揮者としても大活躍だ。大阪フィルとのベートーヴェン・ツィクルスは絶賛され、今や各地のオケに招かれている。今回は日本センチュリー交響楽団との「田園」。冒頭の主題から美しい響きで、ゼクエンツの漸強にもしみじみとした感動がある。ヴィブラート少なめの弦は透明だ。緩徐楽章もとてもきれい。「嵐」はバロック・ティンパニの加入で怖いほどの迫力。終楽章は感謝の祈りが大団円の熱気にまで高まる。《オベロン》序曲も実に楽しい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2018年11月号より)
【information】
CD『ベートーヴェン「田園」 /延原武春&日本センチュリー響』
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
ウェーバー:歌劇《オベロン》序曲
モーツァルト:ディヴェルティメント K.334
より第3楽章 メヌエット
延原武春(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2017年9月、豊中市立文化芸術センター(ライヴ)
ナミ・レコード
WWCC-7879 ¥2500+税