イタリア古楽界の鬼才がモダン・オケにもたらすスリリングな響き
読響10月マチネーシリーズに古楽の鬼才、ジョヴァンニ・アントニーニが登場する。アントニーニ率いる「イル・ジャルディーノ・アルモニコ」は、1985年の創設以来、エッジの効いた、エキサイティングな演奏で、古楽界に旋風を巻き起こしてきた。アントニーニは、“イル・ジャル”で指揮者、リコーダー奏者として中心的な役割を担うが、その一方で、ベルリン・フィルやシカゴ響など欧米の名門オケにたびたび客演し、モダン・オーケストラの指揮者としても高く評価されている。
曲目は、バロックとハイドンの交響曲の組み合わせだが、刺激的かつ挑戦的だ。ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲ではアントニーニ自らリコーダーを演奏し、2曲のマンドリン協奏曲では、気鋭のマンドリン奏者、アヴィ・アヴィタルが登場する。
78年イスラエル生まれのアヴィタルは、そのカリスマ性と超絶技巧で、“マンドリンのプリンス”の異名をとる。ヴィヴァルディはマンドリンのオリジナル曲だが、J.S.バッハは「チェンバロ協奏曲 ニ短調」の編曲。彼の巧みな指捌きと繊細かつ優美な表現に誰もが魅了されるだろう。
最後は、ハイドンの交響曲第100番「軍隊」。アントニーニは、現在、ハイドン生誕300年の2032年に向けて、交響曲全曲録音を“イル・ジャル”とバーゼル室内管とともに敢行中で、鮮やかな切り口の、目からうろこの演奏で話題を集める。アントニーニはこの交響曲で読響にどんな魔法をかけるのか、ぜひともホールで確認してほしい。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2018年10月号より)
第211回土曜マチネーシリーズ 2018.10/20(土)
第211回日曜マチネーシリーズ 2018.10/21(日)
各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp/