水戸室内管弦楽団(MCO)の10月の定期演奏会は、指揮者なしで、ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」組曲、カバレフスキーのチェロ協奏曲第1番、ヴィヴァルディの「四季」が取り上げられる。名手揃いのこの団体は、総監督の小澤征爾が述べるように「指揮者がいなくてもアンサンブルができるオーケストラ」であり、これまでにも指揮者なしでのコンサートも行ってきた。
「プルチネッラ」組曲は、かつて小澤征爾ともCD録音を行った同管の十八番。合奏協奏曲的な作品であり、MCOの奏者たちがどんなソロを披露してくれるのか楽しみである。カバレフスキーの協奏曲のソリストは、メンバーでもある宮田大。2012年に小澤征爾&MCOとハイドンのチェロ協奏曲第1番を共演した彼は、若いながら今ではこのオーケストラの中核を担っている。カバレフスキーの第1番は、1949年に作曲された、ソ連の社会的リアリズムに即した難解でなく“平易な”音楽。
ヴィヴァルディの「四季」で独奏を務めるのは竹澤恭子。デビュー以来、日本が誇る世界的なソリストとして活躍している彼女であるが、近年は、このMCOやサイトウ・キネン・オーケストラに参加し、オーケストラ活動にも積極的に取り組んでいる。「四季」でも集中度の高い、情熱的な演奏を聴かせてくれることだろう。今回は、宮田と竹澤という比較的近年に加わったメンバーらの活躍により、今の水戸室内管の魅力がいっそう満喫できるに違いない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年10月号より)
2018.10/19(金)19:00、10/21(日)18:00 水戸芸術館コンサートホール
問:水戸芸術館チケット予約センター029-231-8000
http://www.arttowermito.or.jp/