19世紀ウィーン音楽を満喫
パスクアーレ・イアンノーネは、巨匠アルド・チッコリーニの薫陶を受け、数多くの受賞を重ね、国際的に活躍する実力派ピアニスト。特に大曲や難曲を得意とし、大胆な表現力と雄大な構成力で知られる彼が、豊田市コンサートホールの《イタリア名ピアニスト シリーズ》に登場し、19世紀ウィーンのサロンで奏された音楽の“シリアス”と“コミカル”、2つの表情を演じ分ける。まずは、前者の典型として取り上げるのは、シューベルトのソナタ第14番とブラームス「6つの小品op.118」。かっちりとした音楽的な構成を踏まえながら、これらの作品が持つ深い精神性を掘り下げていく。そして、後半ではがらりと雰囲気を変え、「春の声」「ピッツィカート・ポルカ」などヨハン・シュトラウスⅡ世の親しみやすい旋律を。さらに、「美しき青きドナウ」など彼の代表作の旋律を用い、ポーランド出身のピアニスト、モーリッツ・ローゼンタールが編んだ幻想曲も披露。華やかなサウンドと技巧で、空間を満たす。
文:笹田和人 (ぶらあぼ2013年9月号から)
★8月31日(土)・豊田市コンサートホール
問:豊田市コンサートホール0565-35-8200 http://www.t-cn.gr.jp