ヨーン・ストルゴーズ(指揮) 読売日本交響楽団

暑さを吹き飛ばす北欧&東欧のパワー


 8月の読響「土曜&日曜マチネーシリーズ」は、シベリウスの「フィンランディア」とヴァイオリン協奏曲、ドヴォルザークの交響曲「新世界より」が並ぶ北欧&東欧プログラム。説明不要の名曲ばかりだが、これらは1900年前後の近い時期の作だけに、両巨匠による国民楽派の到達点を比較する楽しみもある。
 指揮は、読響初登場となるヨーン・ストルゴーズ。フィンランド生まれの彼は、サロネン時代のスウェーデン放送響のコンサートマスターを経て、2008年から15年までヘルシンキ・フィルの首席指揮者を務め、現在はBBCフィルの首席客演指揮者等の任にある。シカゴ響、ボストン響、ゲヴァントハウス管ほか多数の著名楽団に客演し、シャンドスからシベリウス、ニールセンの交響曲全集をリリースするなど録音も多数。日本では、15年夏にN響を指揮し好評を博している。持ち味は、細かな動きを浮き彫りにしながら壮大に盛り上げるカタルシス充分の音楽。お国のシベリウスはむろん聴きものだし、ゴージャスでダイナミックな今の読響を振って、いかなる「新世界」を創造するのか? 大いに楽しみだ。
 ヴァイオリン独奏は、シモーネ・ラムスマ。オランダ出身の彼女は、コンセルトヘボウ管、フランス国立管等の著名楽団と共演し、読響でも昨年2月にカンブルランの指揮でチャイコフスキーの協奏曲を弾いている。2年続けての登場は、まごうことなき実力の証し。本場の名匠のサポートで奏でる、ナチュラルかつ力強いシベリウスに期待したい。
 残暑の午後、“爽快にしてパワフル”なプログラムと演奏に浸ろう!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年8月号より)

第209回 土曜マチネーシリーズ 2018.8/25(土)
第209回 日曜マチネーシリーズ 2018.8/26(日)
各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
http://yomikyo.or.jp/