バッハを源流とし、他の作曲家に受け継がれていくものとは
若手日本人奏者が、バッハから現代作品によるプログラムを独自の感性で組み立てて披露するリサイタルシリーズ「B→C」。来る5月公演に登場するのは、中桐望。2012年マリア・カナルス国際音楽コンクールで第2位、また同年浜松国際ピアノコンクールで第2位に入賞し、その後14年からの2年間はポーランドで研鑽を積んだピアニストだ。
彼女が今回演奏するのは、バッハ、そして彼を敬愛したショパンの「舟歌」から広がるピアノの世界。中でも、ショパンのピアノ表現を継承しながらフランス音楽を発展させたドビュッシー「版画」、メシアン「4つのリズムのエチュード」、メシアンの死を悼んで書かれた武満徹「雨の樹 素描Ⅱ」という流れからどんな物語が見えるのか興味深い。また、南聡と池辺晋一郎という日本人作曲家によるバッハをテーマとした楽曲、力強く輝かしいサウンドで奏でられるバッハ=ブゾーニ「シャコンヌ」も楽しみ。中桐のピアノの、細やかでキリリとした魅力を存分味わうことができそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2018年5月号より)
2018.5/15(火)19:00
東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp/