第23回 宮崎国際音楽祭

アジアの名匠たちが競演する華麗なステージの数々


 23回目となる宮崎国際音楽祭(音楽監督:徳永二男)が4月28日から5月13日まで宮崎県内各所で開催される。今年は故アイザック・スターンが提唱した「アジアの演奏家の育成による、宮崎でしか聴くことのできない質の高い演奏会」という理念に立ち返って、優れたアジアの演奏家を招き、アジアに関連の深いプログラムが並んでいる。
 まず、この音楽祭の中心となる「メインプログラム」5公演を紹介しよう。「演奏会1」は「夢のあとさき〜フランス音楽のエスプリ」と題され、韓国を代表するヴァイオリニストで、現在はパリを拠点に活動するドン=スク・カンが参加。宮崎国際音楽祭が育てた才能とも言える三浦文彰、中国出身のチェロの趙静、そしてパリで活躍するピアノの児玉桃などを迎えたフランス音楽プログラムだ(5/4)。ラヴェルの「ピアノ三重奏曲」などが演奏される。
 「演奏会2」は「アジアのヴィルトゥオーソ〜達人たちの響演」と題され、台湾出身のチョーリャン・リン、日本を代表する奏者、諏訪内晶子(以上ヴァイオリン)、川崎雅夫(ヴィオラ)、古川展生(チェロ)などが集まり、ブラームス「弦楽六重奏曲第2番」、バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲」などを披露する(5/5)。
 「演奏会3」は「レジェンドの帰還〜チョン・キョンファのブラームス」。韓国出身で世界的なヴァイオリニスト、チョン・キョンファが下野竜也の指揮でブラームスの大曲「ヴァイオリン協奏曲」を演奏する(5/6)。
 「演奏会4」はエクスペリメンタル・コンサートで「レガシー〜武満徹の残したもの」と題され、世界的な作曲家として活躍した武満徹の音楽を回顧するほか、野平一郎、池辺晋一郎、湯浅譲二の作品なども紹介される(5/11)。
 「演奏会5」はやはりアジアに関連の深いプッチーニ《蝶々夫人》(全曲)をコンサート形式で演奏する。指揮は広上淳一、蝶々夫人には中村恵理(ソプラノ)、ピンカートンには福井敬(テノール)がキャスティングされた(5/13)。
 そしてもう一つの柱「スペシャルプログラム」。注目されるのは、俳優の仲代達矢がトークゲストとして参加するSpecial Concert 1「仲代達矢『85歳の自画像』」。黒澤映画をはじめ、様々な映画で主役をつとめ、現在でもステージに立ち続ける名優が語るトークでは、どんな話題が飛び出すのだろうか(4/30)。Special Concert 2「2violins〜海峡を超えるアジアの響き」では、ヴァイオリンのチョーリャン・リンと諏訪内晶子、そしてピアノの児玉桃が共演。プロコフィエフ「2つのヴァイオリンのためのソナタ」、モシュコフスキ「2つのヴァイオリンとピアノのための組曲」などが演奏される(5/1)。
 その他、「気軽にクラシック」と題した連続的なコンサート企画(5/3)や、宮川彬良指揮の「ポップス・オーケストラ in みやざき」(5/12)が開催されるなど、クラシック初心者にも楽しめる工夫がこらされている。ぜひ、足を運んでみたい企画が盛り沢山の今年の宮崎国際音楽祭である。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2018年5月号より)

2018.4/28(土)〜5/13(日)
メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 他
問 宮崎国際音楽祭事務局0985-28-3208
http://www.mmfes.jp/