第20回記念「別府アルゲリッチ音楽祭」記者発表

 ピアニストのマルタ・アルゲリッチを総監督、伊藤京子を総合プロデューサー迎えて、大分県別府市で開催されている「別府アルゲリッチ音楽祭」が今年で第20回を迎える。1998年にスタートした同音楽祭は、「育む」「アジア」「創造と発信」を3つの目標に掲げ、子どもたちが音楽に触れる場や、アジアの音楽家とアルゲリッチの出会いの場を提供し、地域の人たちとともに創る手づくりの音楽祭を目指して毎年開催され、大分県や別府市など地元自治体の協力も得て、地域の祭典として定着している。今年は5月6日から6月8日までの開催。「ローマから大分への道〜音楽が結ぶもの」をテーマとしている。
(2018.3/1 東京都内 Photo:I.Sugimura/Tokyo MDE)

伊藤京子

 3月1日に都内で行われた会見で挨拶した伊藤は、“本当に人に恵まれてきた音楽祭”とこの20年を振り返った。
「大分には、日本人が初めて西洋音楽に触れ、大友宗麟らが、初めて知る宗教や文化を寛容に受け入れたという歴史があります。アルゲリッチとともに作り上げてきたこの音楽祭も、人とともにあり、人が豊かに暮らしていくことを願ってやってきました。大分では2019年にラグビーのW杯が行われますが、皆さんの目が海外に向いているいま、第20回開催を機に、芸術振興のあり方とはどうあるべきか、ということを行政とともに考えながら歩を進めていきたいと思っています」

 プログラムは、20回の軌跡を振り返りつつ、未来を見据えたものとなっている。音楽祭は大分県出身若手演奏家による公演(5/6)で開幕。注目は、「アルゲリッチMeetsベートーヴェン」と銘打った水戸室内管弦楽団による室内オーケストラ・コンサート(5/25)。第1部では、ホルン奏者のラデク・バボラークの指揮によりドビュッシー、ミヨーなど。第2部では、小澤征爾(指揮)とアルゲリッチの豪華共演が実現し、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番が演奏される。また、アルゲリッチが長女リダ・チェン(ヴィオラ)や竹澤恭子(ヴァイオリン)らと共演する室内楽コンサート(5/30)では、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番などが取り上げられる。また、しいきアルゲリッチハウスでのスペシャルコンサート「アルゲリッチMeetsリスト」(6/3)では、リストのピアノ・ソロと朗読のための作品「レノーレ」で、アルゲリッチの次女で女優のアニー・デュトワが朗読を務める。20周年記念事業としては、16世紀の南蛮文化に因んで古楽器のアンサンブルによるコンサート(5/25)も企画されている。東京で唯一開催される公演では、第1回に出演したチョン・ミョンフン(指揮)が、桐朋学園の現役学生と卒業生で編成したオーケストラを振り、アルゲリッチとプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番で共演(5/16)。そのほか、継続事業である、地元ジュニアオーケストラが出演する子どものためのコンサートやマスタークラスなども実施される(今年はマラソンコンサートはなし)。
 また、関連公演として、小澤、アルゲリッチ、バボラークが出演する水戸室内管の演奏会(5/20,5/22)が水戸で、アルゲリッチとミッシャ・マイスキーのデュオ・コンサート(6/8)が熱海で開催される。
 12月には、音楽祭初のヨーロッパ公演として、同音楽祭のアドバイザリー・コミッティを務める指揮者のアントニオ・パッパーノが、アルゲリッチやマイスキーなどとともに出演する室内楽コンサートがイタリアのローマで行われる。1557年に日本人が初めて西洋音楽を演奏した地とされ、天正遣欧少年使節をローマに派遣した大分の歴史と、同地で誕生した音楽祭の20年の歩みがもたらした意義を改めて振り返る機会となる。

第20回記念 別府アルゲリッチ音楽祭
2018.5/6(日)〜6/8(金)しいきアルゲリッチハウス、ビーコンプラザ、iichiko総合文化センター 他
問:アルゲリッチ芸術振興財団0977-27-2299
http://www.argerich-mf.jp/